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TANGENT

「I am in beautiful moment.」。4月中旬から今日までの一ヶ月と少し。世間的にはゴールデンウィイークを含んだ、新緑の春な時期。Sb的には、新刊春夏号に向けて走りはじめるとき。そして、自分的にはなかなかシビレタ一ヶ月だった。公私ともにいろいろとやることがあるのは常だけど、4月中旬、ほぼ同じタイミングでかかってきた2本の電話が、シビレタ。そのうちのひとつは、ゴールデンウィークを吹っ飛ばし、一日24時間の時間割さえぶっ壊した。最後の数日は、机を並べて、オトナ男たちが昼夜問わずに作業を続けていた。NHKの番組『プロジェクトX』風に言うなら、「男たちは続けた。空気に色があるなら、それは赤だった。赤い熱情だった」という感じだろうか。 もはやこの時点で、Too Hotな夏が来る前から、すでにトーストされてた感があるけど、どこかで経験したことがあるような、はっきりとは思い出せないけど、遠い昔にこんなことがあったなと感じるような、そんな熱くてノスタルジックで「テンパるなんてもちろん嫌なんだけど」嫌いとは言い切れない感覚が去来した、校了作業だった(*校了は印刷所で本格的製本に入る直前の最終段階。または出版社、編集者、校正家、デザイナーが揃い踏みして、火あぶり祭でリンボーダンスならぬビンボーゆすりを連弾する作業行程の俗称)。文字通り、缶詰をようやく脱出し、缶詰の蓋をプルアップするがごとく、重かったドアの外に出たとき、見上げた空がとても青く夏を歌っていたのが、どうしようもなく嬉しかった。もうひとつの電話。シビレタ理由は、自分の中で一、二を争うほど好きな街のひとつ、NYで発刊されている、良い内容だなと思うのと同時にシンパシーも感じるマガジンの編集長コーリンと公開セッションして欲しいということ。みなさんも、自らが興味ある人と話してみたいと思うことって、よくあると思う。それが絶妙なタイミングで向こうからやってくると、嬉しいのと同時にじわーと緊張してくる。この類いの緊張を前述の追い込まれ系のものとは別で、自分はシビレタと言う。話したいこと、訊いてみたいことはたくさんある。このセッションは、プリティトークショーとして、明日21日(水)19時~20時の時間帯、代官山・蔦屋で、開催される。ちなみに、この公開セッションの電話をしてきてくれたのは、サーフィンライフ・マガジン編集長内田氏。長い間、彼がつくるglideというサーフマガジンで、編集としてページを担当させてもらってきた。断る理由はないのだが、実は人前で話すのはあまり好きではない。明日、コーリンと会うのは楽しみでシビレルが、人前で話さなきゃいけないという億劫さにも若干シビレテル。いろんなシビレがあっちゃこっちゃと自分の中で綱引きをしている。あっちゃこっちゃやってるうちに、明日がやって来て、校了した本は出来上がって、今度は新しいSbが怒濤の校了作業に突入していって、気がつけば、新緑は深緑になって青さは最高潮で、夏が輝き出している。夏はいい。そして、NYCの夏は最高にいい。そうだ、NYに行こう。「I am in beautiful summer.」 

Senichiro Ozawa