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TANGENT

とある日曜日、コンクリートでもアスファルトでも敷き詰められたタイルの上でもなく、土と芝の境目で朝露がキラリとする時間。オーライっ!、オ?ーライ、オっオっーライ、オ、オ、おぉ~??。超ラクショーなレフトフライを思いきり肩でリフティングしてぶっこけた。フットボールか?! いや、違う。本気で捕りにいって、その有様だ。転々とする白球には、ライト寄りに守っていたにもかかわらずセンターの方が早く追いついた(エラーした方はその行方を見失っている。というか、完全に正気を失って、オ、オ、おぉ~と言っている)。さすが韋駄天とチームで呼ばれた男。ゲーム前、駐車場でプッシュしたまま車のルーフにオデコをぶつけ流血して、うずくまっていたとは思えない軽快さである【He used a T19 skateboards deck】。うずくまっているとき、気遣うように振る舞って、実のところ必死に傷口を押さえる男の手を払いのけて、オデコが必要以上に広いことをフィンガーポイントしてニヤけていた男は、内野陣に中継に入るように声を張る。それに反応したのが、ナイスガーイならぬチームで随一の金○がデカーイに勝手に祭り上げられてしまった、必ず1ゲームに1本ヒットを打ち、マーク・ゴンザレスと巨人軍OBで希代のアベレージヒッター篠塚を敬愛する、あの男【Pool】。すでに二塁ベースを回ったバッター。ライバルチームでありながら、さすが、この男も俊足として羨望の眼差しを受けるだけはある【Punch】。しかし、中継した男からまるで自身の金○をなでるように大切に握られ、放られた白球は、ズッポリと、もといすっぽりと三塁を守る、チーム第3代目4番を張るスラッガーの男のグラブに収まり、アウト。ことなきを得たのだった。ほとんど打球が飛んでこないライトを根性と精神力で守ったふりをし、攻撃回にはベンチに腰をかけることなく一心不乱に素振りをし続ける【Keep on pushin'】ストイックな男は、握った拳にさらに力を入れて空に突き上げ、同じデッキ【Gabe Morford 1st signature】にだいぶ長いこと乗っていた、車を運転中に着ていたスピットファイヤーのTシャツが燃えはじめても笑ってスルーしてしまうキャッチャーの男はマスクを空にかざして喜んでいた。そんなキャッチャーを影から見ている、190cmの長身で顎髭がいい感じの、玉を、もとい球を入れたり突いたりするのが上手な男。一興ということで応援に来てみたはいいが、あまりの異空間、もしくはガンバレ・ベアーズばりの喜怒哀楽ベースボールに言葉を失い、誰かに声をかけることもなく球場を後にした【Underdog】と、後に語っている。とにかく1アウト。まさかの1アウト。気を取り直してピッチャーがセットポジションに入ろうとしたら、エラーしたばかりなのに「もう一丁、こっちに打ってみろ! バッターよ、ビビってんじゃねーよ。荒ぶれ!」なんていう、ちょっとそれはムシがよすぎというかお門違いじゃないかとつぶやき【Twitter】たくなるバッテリーにおかまいなしに、あの男の声が轟くと、韋駄天男のおでこの傷からは血が噴き出し、金○男のそれは縮みあがり、ストイックな男の体は勝手に素振りだす。球を入れたり突いたりする男は帰り支度を急ぎ、フィンガーポイント男はスラッガー男と目を合わせまたニヤけている。確かに声とおおよそベースボールのプレイとは思えないその挙動は荒ぶれているけれど、またエラーされたらたまったもんじゃない。それにバッターはビビるどころか、そこが穴だと確信している。ピッチャーは絶対にレフトには打たせちゃだめだと誓ってサインを覗くと、アウトコースにチェンジアップをキャッチャーは要求している。わかっている。うん、わかっているよ!
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ベースボールなんてちゃんとやったことなどない。なのにノリでつくったチームの初ゲーム、いきなりホームランを打った男は、飛んできた打球のほとんどをホームランにしてしまう男でもあった【Click! Click!】。だけど、確かに何かを持っている。まぐれだとしても、初ゲームで青空にすうっと溶け入るように男が描いた白い軌道は美しすぎた【Footage maker】。もちろん、以来、男のバットから快音が聞こえたことは一度もないし、それどころかすべての球に全身全霊で三振をすることに命すらかけているようだった。削ってるな、正直そう思った。それは男が写真を撮る姿勢とも妙にかぶる。そんなことを思いながらも、ピッチャーは実のところ、エラーの度にマウンドにグラブを叩きつけ、敵にではなく味方に罵声を飛ばしていたのだけれど。とにかくこんなチームでは1アウト【1shot】を取る(撮る)のも大変なはずだけれど、なぜか楽しい。だからこそ、1ヒット、1点奪取【Make tricks】なんてことが、拍手喝采で盛り上がる。いろいろな個性が譲らずしのぎあって、ときにワイワイと、ときにはシビアに、本気ということを頼りに白球を追いかけていたのだった…。これはだいぶ昔のとある日曜のボールゲームの話。その模様を収めたプライベートビデオは、Sbがはじまる少し前、後にスケビ「Chatty Chatty」シリーズをはじめるフィルマーのポン君につくってもらった【@Nice Dream】。スケートボードになぜかベースボールも混じっている奇妙なビデオ。スケートボーダーや本格的なスラッガーも映っているし、スケートボード好きやベースボール好きも映っているし、スケートボードに後に関わることになる人もベースボールで後にFA宣言した人も映っているし、飄々とその瞬間瞬間を楽しんでいるだけの人やひたすらニヤけているだけの人も映っているし、スケートボードをやめて久しい人や金○がデカーイ人も映っている。いろんな人が映っているのに、スケートボードに乗ったことがないなんていう人はひとりもいない。何かしらで繋がっている、スケートボードはとっくにそういうところまできている。とにかく、改めて心してかかろう。だけど、何をやるにしても楽しんでいけたらいいな。それがいいに決まっている。

Senichiro Ozawa