Sb Skateboard Journal TOP
QP

SUIKO

絵本作家の父を持ち、物心ついた頃から絵を描いてきたというSUIKOは、 絵を描くこと以外で褒められることがなかったと当時を振り返る。そしてそのまま絵を描き続けている。市井の者にとって人生に転機はつきものだが、幼少期か らずっとブレずにキープオンしているというのはおいそれとこちらがアナライズできることではない。尊敬するグラフィティライターたちがいるドイツで半年間 暮らし、彼らが絵を描くことだけで勝負しているのを目の当たりにし、自らもそれで勝負することを決意した。彼は、周囲の空気や風景と調和させ、さらに衝突 させるように意識し描き続けている。そんな彼の表現には"現代日本のヌルい幸福"が深淵に有ると自身で分析する。最近は、自己言及的な部分だけでなく、意 識的にテーマを持ち表現することも増えてきた。壁に描かれた色彩に富んだ彼の絵は、蠢いていて、見つめていて、はためいていて、存在感を放つと同時に、 まったくこちらに嫌悪感を抱かさせない。二次元でいて、そこから今にも動き出しそうな存在感。それは昨夏のフィルハーモニーVol.1でも一目瞭然だった。人類史において個性がない人間などいないはず。ただ、個性が強いか弱いか。悲しいかな、それには差異と才がある。SUIKOの スプレーによる丁寧なアートワークと色使いもまた強い個性のひとつであると言えるのではないだろうか。そして、それ以上に、彼のアイデンティティーとイデ オロギーもまたこのフィルハーモニーという、ぶつかり合いのオーケストラの中で、異質で個性的で、素敵な音(色)を放っている。その調和と衝突を楽しんで いただけたらと思う。

その手で一体何を?

「存在確認」

1 2 3 4