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my hometown color 第五話。これはとある千葉の田舎話のつづき。今日も"アイツ"と滑ってた。アイツとは宇野のことで、俺と同じくキャプテン佐藤の東京土産のスケートボードに魅せられ、一緒に滑りはじめた中学校の同級生。ひとつ不思議なのは、一緒に滑ってる連中はみんな野球部なのに、アイツだけはサッカー部に所属していた。小学校は一緒ではなかったし、コレといった接点はあまりなかったはずなのに、いつのまにか一緒に遊ぶようになり一緒に滑るようになっていた。初めて乗ったデッキはVISIONのGonz。その後はH-STREETのHensleyとなかなかのセレクトセンスと感性の持ち主で、俺らの中では一番スケートボーダーっぽいニオイがしたように思える。アイツについてもう少し話しをすると、トラブルメーカーな先輩の高井くんに並んで、結構なトラブルメーカーだった。その原因はなんと言っても"眼つきの悪さ"にある。顔立ちはサッカー元日本代表の中田英寿に似ている感じで、まあ悪くない。だが、眼がどう見てもマイクタイソンだった。街中を普通に歩いていても、その厚ぼったい一重の鋭いナイフのような眼光のお陰でかなりの確率でからまれる。もちろん本人もヤンチャな部分はあったわけだが、本人のスキル以上に外敵からのアプローチが多く、勝手にトラブルが舞い込んでくるタイプと言えた。そんなアイツの今はというと、一緒に朝までプッシュをしていたHometownで立派な居酒屋をやっている。店に入ると昔よく遊んだ顔がチラホラ見える。たまに地元に帰ったときは、そこで飲んで翌日はみんなでスケートボードをする。そんなルーティンが地元の温かさと心地よさを感じさせてくれる。アイツといつものように滑っていた高校時代のある日、ひとりの男がこの田舎町に現れた。彼はスノーボーダーらしく、海外キャンプの費用を稼ぐために長野の田舎町から、何故かこの千葉の田舎町へと引越して来たらしい。この町では外へ引越していく若者は多いが、わざわざ外から引越してくるケースは珍しい。なによりもまだこの時代に、海外キャンプに参加するようなスノーボーダーもまた珍しい。すぐに俺らは彼に興味が沸いた。つづく。

Eiji Morita

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