Sb Skateboard Journal TOP
my hometown color 第四話。これはとある千葉の田舎話のつづき。1991年。週半ばの水曜日、時刻は21時。バッグに制服を押し込み、帰宅を急ぐ学生とサラリーマンの間を逆走して、上り電車に滑り込む。そして、隣駅で下車すると、先輩の車に乗り込み都内を目指した。車内にはスケートボーダーにサーファー、古着屋の店員などジャンルレスな遊び仲間が集結していた。そして一行が向かうのは六本木の人気クラブ「エロス」。毎週水曜日はSkateにSurf、Snowの3Sナイト。外壁にはESOWくんの絵が描いてあって、入店前からテンションが上がる。店内はラッシュ時の満員電車状態で、すれ違う女の子のお尻や胸が心地よく密着する。それと同じくらいの頻度で、汗だくな先輩のぶ厚い胸板も否応なしに密着もする。朝5時まで飲んで踊って騒ぎまくって、ラストチューンは決まってBEASTIE BOYSの「Fight for your right」。それで大暴れして終了時間。人影の少ない銀座通りを疾走する車中。朝焼けが映るビルを眺めながら何か得体の知れない達成感に浸り、一行は千葉の田舎町への帰路につく。時刻は朝8時。地元の駅の公衆便所で制服に着替え、電車へ乗り込み座席に腰掛け目を閉じる。次に目を開いた瞬間、学生で満員だったはずの車内はガラ~ンとしてて、乗客は3名程度。始発と終点を一体、何往復したのだろうか。時刻はすでに11時30分。それでもあきらめない。学校へ行って昼食にすることにしよう。そーしよう。いつも木曜日の朝はそんな感じだった。そして、とある週末の土曜の夜。いつものように「デッキ」でスケートをするが、時刻は22時。今日のスケートはそこそこに、この日は地元の先輩スケートボーダー、MCウエスギ氏率いる「ガスボーイズ」のライヴがあるので、俺らは車に乗り込み川崎クラブチッタを目指した。他のアーティストには目もくれず、ガスボーイズの出番を待って、ひたすらに酒を流し込んでモチベーションを上げる。いよいよだ。すでに泥酔状態の俺らはただ音に合わせて暴れるだけ。踊るなんていうのは到底無理な話で、ましてやキレイなステップを踏むこともできず、ただただ暴れるだけだった。ガスボーイズのそんなライヴが心地良くて好きだった。ただ、いつも決まって、帰りの記憶はまったくなかった。気づけば先輩の家で目を覚ましていた。そんな日曜日の朝。酒にまみれて汚れた足元の、エアーウォークのディザスターだけが昨夜の証言者。つづく。

Eiji Morita

photo
photo