Sb Skateboard Journal TOP
ここは千葉の田舎町。日本屈指の悪水質で河童が住んでる手賀沼と、細川ふ○えの出身地というくらいしかセールスがないとも思える田舎町。そんな町で暮らしていた中学一年のとき。同じ少年野球チームでキャプテンをしてた佐藤がSTORMYでスケートボードを買ってきたことからすべてがはじまった。そのデッキはSIMSのERIC NASHだったかな。キャプテン佐藤はいつもでも何に対しても手が早かった。原宿デビューも一番乗りだったし、オシャレにも敏感で俺らの"ジーパン"を見て「デニム」って言ってた。ちょっと鼻につく感じだったけど、羨ましくてすぐにみんなでホームセンターにスケートボードを買いに行った。5000円くらいのおもちゃのスケートボードだったけど、それで十分に楽しめた。数ヶ月はひたすらチクタクと坂道でパワスラ。それしか知らなかった。ウィールはニンジンのような形に姿を変えてどんどんちっちゃくなって、テールは鋭利な刃物の凶器となってよく刺さった。そのうちにデッキを替えウィールを替え、トラックを替えてようやく本物のスケートボードへ乗ることができた。初めて完成したコンプリートはSANTA CRUZのJEFF KENDALLに蛍光グリーンが眩しいTRACKER TRUCK、POWELLのT-BONE。最高にかっこ良かった。ちょうどその頃、キャプテン佐藤がSTORMY土産に持ち帰ったH-STREETの名作「HOCUS POCU」を見て衝撃を受けた。幼少期から自転車で走り回ったこの町を、今度はスケートボードに乗って走り回った。ケイドロや缶ケリして育ったこの町は、路地裏から屋根上まですべてを知り尽くしてる。この町のメインスポットは公営団地に囲まれた商店街。駄菓子屋に文房具屋、クリーニング屋に肉屋に魚屋。それに八百屋も。すべてが揃った昭和の風景にありがちな商店街。夕方ともなると大人も子供も多くの人で賑わうド真ん中で迷惑極まりなく滑ってた。「何故こんなところでって?」、ここは小さな頃からみんなの溜り場。駄菓子を買い食いしながら店先のアーケードゲームに夢中なって遊んでた場所。そしてここにはステアにレッジ、スロープがあるしスーパーの屋根は十連以上に繋がったスパインになっていてスケートボードには最適だった。営業時間中にもかかわらず屋根へ登って滑っては店長に怒鳴られたけど、毎日それを繰り返してた。怒られたってなんてことはない。肉屋の娘は同級生だし、床屋の親父には五歳の頃からヘアスタイルを任せてる。いつも決まってスポーツ刈り。警察が来ても「またお前らか」「もう帰ります」といつも同じセリフの繰り返し。この町ではラリって金属バット振り回してるヤンキーにだけ気をつければ、あとは問題なかった。ネクストスポットは駅前のロータリーと駐車場へ。ここにはジャンプランプとボックスが置いてあった。すぐ隣には進学塾があって受験勉強に精を出してる連中にスケートボードをアピールするのが日課だった。1時間に2本程度の数少ない電車が駅へ着くと通行人が増える。そんなときこそ必要以上に滑ってアピールした。だいたいの人は迷惑そうな顔をして避けていくんだけど、たまには物好きもいたもんだ。あるとき、2人の女子高生が話しかけてきた。歳上の女の子にみんな鼻息荒くなっちゃったんだけど、数日後にはキャプテン佐藤と内田がその2人とそれぞれ付き合ってた。「チッ!また佐藤かよ」って思ったけど、内田は晴れてその子に童貞を捧げた。次の日、みんなで大騒ぎで祝福した。つづく。。。

Eiji Morita

photo