写真のアクセントになっているLIBEの赤いメッシュキャップは、撮影の数日前にFESN森田氏からプレゼントされたもの。感謝の意を込めて、この後も撮影でずっとかぶっていたのを覚えてる。黒ブチ眼鏡も既に彼のキャラクターを表すトレードマークに。
手前で体を遮る鉄棒の見え方を調整するのに腐心した。もっと下からのアングルで撮りたかったけれど、膝と腰の曲がり方が見える範囲を狙うと、この高さしかない。そんなさじ加減で導かれたアングル。
入り口のコンパネは通常の幅90センチよりも細いもの(50センチくらい)を使用。アプローチのために5枚のコンパネを連ねて使用したけれど、入口の幅が太いと安全に見えてしまうので、わざわざ入口部分だけ細く切って使用することに。
一体何人の名もなき若者がこのベンチで夢を語ったことだろうか。さらには昼下がりを過ごす老人も居たに違いない。歴史を刻んだ味のあるベンチは僕らより遥かに年上かもしれません。
Summary
2011年冬、Skateboard diasporaなる特集の写真選考にギリギリまで残っていた一枚。東京のどこかというのはわかるけれど、それがどの街の、どんな公園なのかは定かではなかった。そこが良かった。Deshiという希代のスポットシーカーの公園の間違った、それでいて正しい使い方。見ているだけでゾクゾクしてくる写真で、スタイル、トリック、アプローチなどスケート写真における必要不可欠な情報もしっかり内蔵されていた。フォトグラファーとスケートボーダーとスポットの息の合ったこの写真が、惜しくも落選してしまう理由は意外なところからやってくる。ページ数が足りないこと。そして、各都市、各一枚という企画主旨があったこと。東京から選ばれた一枚は、同フォトグラファーが切り取った渋谷の夜のオーリーの写真だった。